【チーム京都ML】その人の立場に立つ【TK006】
2024年12月22日
みなさま
林です。
少し時間が経ちましたが、兵庫県知事選挙は大変盛り上がりましたね。
私は神戸市民としてこの選挙に参加でき、とても貴重な経験を得ました。
今回の選挙に関連する疑惑の内容や告発文書の作成者、その後の状況についてはあえて触れません。それぞれがご自身で判断してください。
選挙とは「武器を使わない戦争」と以前お話ししました。
表面的には公約や美辞麗句が注目されがちですが、裏では怪文書が飛び交い、公職選挙法で厳しく制約された環境下で候補者たちが戦っています。
選挙で勝つということは、「票」をお金に見立てたとき、自分という商品をどうやって売り込むか、という企業経営にも通じる側面があります。この視点で見ると、選挙は非常に興味深いものです。
今回の兵庫県知事選挙は、多くの意味で画期的でした。
一般的に言われているのは、大手新聞やテレビといったオールドメディアと、YouTube、インスタグラム、X(旧Twitter)、TikTokといったSNSを代表とするニューメディアとの全面対決。そしてオールドメディアが「敗北」したという構図です。
オールドメディアとSNSが同じ論調なら「対立」や「敗北」という言葉は使われなかったでしょう。しかし、今回は正反対の論調だったため、「敗北」という評価が生まれたのです。
さらに、オールドメディアの論調と逆の結果が出たことで、選挙後は右往左往する解説や論評が目立ちました。この状況は、ある意味でオールドメディアが中立性を欠いた結果とも言えるでしょう。
選挙期間中、元知事の演説は特に注目されました。その場には多くの人が集まり、感動して涙を流す聴衆もいたほどです。
彼は9月30日に失職し、退任式も見送りもなく一人で去りました。通常なら、退任する首長を職員全員が集まって送り出す「退庁式」が行われますが、それすらありませんでした。
彼には退任前から支持者がおらず、罵倒され続ける日々。それでも翌日から街頭に立ち、演説を開始しました。
彼の演説は非常に印象的でした。議会や個人への恨み言を言うことなく、ただ「兵庫を良くしたい」「自分の至らなかった部分」を正直に訴え続けました。対立候補を非難することも一切ありませんでした。
政党や団体からの支援もなく、全会一致で不信任決議を受けた元知事が、全ての逆境を覆して当選したことは奇跡と言えるでしょう。
選挙終盤には県内市長の有志(29市中、22市)が対立候補を支持する記者会見を行いましたが、机をバンバン叩くなど、パワハラじみた行動は論外ですが、その中立性を欠いた行動は完全に逆効果でした。参加しなかった見識の高い市長も一部存在しましたが、今回の選挙では多くの政治家がそのセンスを欠いていたように感じます。
彼が勝利した理由はいくつか挙げられるでしょうが、私はその一つに「正直さ」を指摘したいと思います。
退職翌日からたった一人で辻立ちし、正直に政策を訴え続ける。その姿勢が人々の心を動かしました。
当選後、「話し合って協力していきたい」と彼は述べていましたが、私には到底できないと思うほどの誠実さです。当選後も陥れようとする勢力が存在する中で、それでも協力を訴える姿勢は、彼の人間的魅力を際立たせました。
候補者本人の魅力が最大の勝因だったと感じます。
翻って考えると、日本の有名な創業者も、必ずしも特別優秀だったわけではありません。周囲の優秀な人々が支えた結果、成功を収めたのです。押し上げたい、助けたいと思うような人間的魅力にあふれているから、成功できたのだと思います。その意味では、経営者も政治家も同じなのかなと感じています。