【チーム京都ML】営業の魔法【TK002】
2024年12月22日
みなさま
林です。
何年前になるでしょうか、当時、医療保険運営に関わっておりました。メタボという言葉がトレンドになっていた頃です。
病気予防のために特定健診をより多くの人に受診してもらえるよう、いろんな取組みを見学に行ったり、様々なアイデアを出してました。
「とにかく受診率を上げろ」と指示されてました。全部の都道府県の数字が出ますから、比較されて競争しているようなものです。田舎ほど受診率は高く、都市部ほど低いのです。京都府はまた特に低かった・・・。
そして、「特定健診」は無料ではなく、一部有料でした(保険補助があったので、2,000円程度)。金出して、人間ドックほどでもない大した検査もしない健診を誰が受けてくれるのか?マジで悩みましたね・・・。
この状況、よくよく考えれば、特定健診という「サービス」を多くの人に売っている・・・という状況です。健診なんて受ける気も無い人(買う気のない人)に、受けてもらいたい(買ってもらいたい)という意味で、BtoC営業です。特定健診を営業して回っていたわけです。
どうやったら受診してくれるのか、受診率が上がるのか、とにかくいろんなことを調べたり尋ねたり、良い事例があったら調査に行ってました。
そういう中で、「営業」に関心を持つようになった決定的なきっかけは、「営業の魔法」という本に出会ったことです。
中村慎仁2007「営業の魔法」
https://amzn.asia/d/ac0CxJ5
この本、ワタシはいったい何度読んだか分からないくらい読みました。ワタシのバイブル認定本のひとつです(笑。
あまりにも有名ですし、ワタシも何度もこの本を紹介していますので、既に読んでいる方も多いでしょうが、まだの方は、まずは表紙を見て、何かを感じてから、次の文章を読んで下さい。
この本、サブタイトルに「この魔法を手にした者は必ず成功する」とあります。今考えたら分かりますが、このキャッチコピー、売れる要素に満ちてます。マジでヤバいです。本当にヤバすぎます。
「営業」というよく知っている言葉に、「魔法」とつけています。「営業スキル」では弱いし、「最強の営業マニュアル」では嘘くさい。「営業の魔法」ですよ・・・効きそうな感じがしませんか?なんせ、「マジック」ですからねぇ。
いや、「魔法」やろ?うさんくさいな・・・と思ったら、「この魔法を手にした者は必ず成功する」と断言しているわけです。「・・・効くかもしれません。知らんけど」と言われると信用できませんが、ここまで断言されるとちょっと読んでみたくなりませんか?
今なら、ワタシは、ひとが新しい商品(サービス)を買うとき、内容(商品・サービスの質)は関係なく、ネーミングを含めたパッケージ(見栄え)で買っていることを理解しています。
そうすると、この本がどれほどヤバいか分かります。関心のない人に手に取らせて、ページをめくらせることこそが最も重要なのです。「読んでくれたらいいこと書いてある」ではダメです。手に取って表紙をめくらせることこそが重要なんです。
これ、食品とか、製品でも同じです。「食べたら旨さが分かる」とか、「使ったら良さが分かる」では絶対に絶対に売れません。大事なことなのでもう一度。使ってくれさえしたら良さが分かるというのは、傲慢だとすら思います。ぱっと見て欲しい!食べたい!使いたい!と思えないものに時間を割くほど、ひとはそんなに暇じゃないのです。
まず、「手に取る」、「口にする」、「試してもらう」ことこそがキーポイントなのです。
ちなみに、裏表紙にはなんて書いてあると思いますか?
表紙を見て、関心を持った人が手に取ります。まだ買いません。ページもめくりません。買うかどうかまだ分からないから、とりあえずひっくり返して裏を見てみる・・・という人がいるわけです。
そうすると、「この職業を通して誰を幸せにしたいのか?」と書いてあります。
この本のターゲットは、言うまでも無く、営業で悩んでいる人です。売れてない人です。そういう人がこの本を手に取ります。売れてない、毎日毎日売れない、何をやっても売れない状況が続くと、いろんな消極的で暗い考えに支配されます。何のために売っているのか、売ることが楽しいのか、売っても良いのか、売ることは社会的意義があるのか・・・とにかく売れない理由を探してしまうわけです。
そんなときにこの裏表紙ですよ。根源的な問いを投げかけています。単なる言葉ではなく、「問い」です。「営業して、誰を幸せにするのが目的なのか?」と問うています。会社のためとか、自分のためとかじゃないところがポイントです。
ちなみに、この本の主人公は、数百万円する業務用空気清浄機のセールスをしています。毎日毎日売れなくて地獄の日々を過ごしています。
まだこの本を読んでない方がおられたら、読む前に、まずは、数百万円する業務用空気清浄機を誰にどのように売ったら良いのか、どうやったら買ってくれるのか考えてみて下さい。
(エアピュアの岩橋さんが前職場の海外ビジネスセンターに初めて相談に来られたとき、あまりにもこの本の状況とマッチしていて、メッチャ驚きました。その場でオススメした記憶があります。岩橋さん、その場でアマゾンポチしていただきました)
この本では、主人公が顧客を探す場面が出てくるのですが、ここでも、「ニーズとは何か」、「どこにあるのか」が実感できます。当初予測していたところではないところに、顧客がいる・・・という実例が良くわかります。
「汚い空気を綺麗にする」では全く売れない、何をやっても売れません。考えを変えて、「既に綺麗な空気をさらにキレイにする」と考えると、新たな顧客が見つかる・・・という流れです。
この本を読了した後、書かれてあることを実践したくてウズウズしたことを思い出しました。電話対応とかで択一話法とか使ってましたねぇ・・・遠い目。
ちなみにこの後、特定健診受診キャンペーンでは、特定健診を受診したくなるようなキャッチコピーについに出会いました。そのコピーを記載して、ポスターとかチラシを作り直してキャンペーンをやりました。・・・どういうキャッチコピーを考えたかは、ぜひみなさん想像していただけますか??
(宿題です☆)
・・・そういえば、自殺予防対策に関わったときも、精神科受診を勧めるためのキャッチコピーを探し回りました・・・普通の人は、精神科行ったら?と言われたら怒ります。「いやオレは正常やで?なんで行かなあかんの?」と。なので、自然に精神科受診した方が良いよな・・・と思わせないといけないのです。最終的に見つけました!
◆◆次回のテーマは、「選挙」。総選挙近いですからねぇ。